木漏れ日 オリーブ

記憶の欠片を綴る

all the long nights

2024年2月9日 映画館へ足を運ぶ。

映画を観終えて外に出たときにみた街の風景を、陽の光を、私は忘れないだろう。

感想を綴っておきたいのに感情が先走ってしまいタイプする手が追い付かないという事象が起き幾日も過ぎてしまった。

余韻、というものが静かにずっと私にあるのだ。

その中のエピソードを一つ記録しておこうと思う。

それは一回目の鑑賞を終えた夜のこと。

家に帰り普段の日常をこなしてどんどん現実に戻されながら湯たんぽのお湯を沸かしている時だった。

ふと、ラストの山添くんのモノローグが頭の中に流れてきて涙が零れた。

お湯がぽこぽこ湧くのを耳にしながら、涙が止まらくなる。

そしてこの瞬間に私の中で何かが繋がったような感覚があって、ぐっと手繰ってみるとそれは瀬尾まいこさんの原作『夜明けのすべて』水鈴社さんから発行されている単行本でいうと265頁にある山添くんの独白の部分、それが浮かんできたもんだから涙がさらに零れた。

ここは原作のなかでも特に私が大大大好きな文章の一つでもある。

それを読んだ時と同じ気持ちに包まれたのだ。

藤沢さんと山添くんだった。

そこからより一層、映画の『夜明けのすべて』原作の『夜明けのすべて』

が私の特別な一本、一冊になった。

 

そして『夜明けのすべて』というタイトルの隣にいつもさりげなくある英題。

映画を観るまえは“ほうほうそう英訳するのか”くらいの気持ちだったのだけれど、

公開日に映画館へ行き、観終えて受け取った余韻を抱えながらの帰り道

“all the long nights”がいよいよ軌道に乗り動き出した感じがした。

後に三宅監督がまさにこの質問に答えているのを拝読し、よりこの英題であることの

意味が深まった。

『夜明けのすべて』まだまだ綴っておきたいことがあるので、ゆっくりでも記録していけたらいいな。